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拳独稽古
取上拳(とりあげけん)の事
此拳は十拳打なれば、十けん打と定め、人数たとへば五人なれば、四人と十けんづゝうつなり、かくして銘々四十拳打となる、不残うちおはりて点数お〆て、てん数多きお順々に、天地人、外何番として甲乙つくなり、〈○中略〉
片(かた)拳の事
此拳は相手にはじめ出すかと聞、相手初め出すときは、此方たゞ声計よびて、さきのゆびにこえのあへばとる、あはざるときはかちまけなし、またその次は、此方よりゆび出す、先に而こえばかりよびて、手出さず、こえのゆびにあへばどるなり、かく幾度も一つかはりにだして、四けんとりてはらひ、五けんめ一本おかちとする也、〈猶呼声ごうまで也〉
源平拳の事
此拳は先百拳打なれば、百拳打と定め置、人数十人なれば、左右に五人づゝ順お立置、下手と下手と合せて、けん木三本づヽうたせ、二本とりたる方残り居て、向がはの段々上の強き人と合せうたす、また此方に而まければ、先の順の人出てうつ、かくして百拳となるとき、源方のてん数いくほん有、平かたの点かずいくほんあると、総数〆て、てんの多きお側のかちとする也、又側々にて天地人外何番と、点数多きおさきにして、段々甲乙つくなり、