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拳独稽古
大坂拳の事
此拳は呼声なし、隻ゆび計出して、先のゆび此方のゆびと出して見、たとへば先に而握り出せしとき、此方に而一本出したるは、一本のかたかち也、先に而一本出し、此方に而一本出したるは、二本のかた勝也、かくの如ぐ一本ましおかちとす、余のゆびかづとなれば、かちまけなし、先に而五本出せし時は、無手に而取なり、余はじゆんじ知べし、
大坂にてはおりはねといふて、初けん一本此方に而とり、また先に而一本とり、二本めまた此方にてとりたるとき、先にて二本めおとれば、此方に而二本めのとりたるゆびはねるなり、互にかくして、二本め三本めとつゞけてとりたるかた、かちとするなり、