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嬉遊笑覧
十上/飲食
吉原などにも享保中に拳相撲といふことはやりて、遊女玉菊これお上手にして、拳まはしといふもの有とて、手覆めくものお、奇跡考に載たれど、その頃いまださばかりは行はれざりしと見えて、延享三年丙寅、吉原細見虎が文といふに、拳の図解委しく出たり、かゝれば彼拳まはし後の物なるべし、明和七年、辰巳園と雲冊子に、拳すまふ有しことおいへり、江戸名物鑑、拳すまふとありて、其句、米かしや指て戦ふ秋の雲、唯拳お打つも拳すまふなり、