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春湊浪話

歌がるた貝覆
宇治十帖に、八宮のひめ君兄弟はかなきことおも、もとすえおとりていひかはしといへるお、花鳥余情、細流抄等に、歌などの上句下句など読ことゝ注し、枕草子に歌のもとお仰られて、是が末はいかにと仰らるゝに、すべて夜ひる心にかゝりて覚ゆると見えしことなど見ゆる、此歌のもと末お覚えん料に、今の歌がるたといふは出来りけるにぞ、其比よりのものなるべし、此本に末お対するといふ事より、対末の歌がるたなどいふ名もあり、さらば宇治十帖、枕草子などに見えし歌がるたのおこりし根元ともいふべし、かるたとは軽板といふ言葉の異なるにや、