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閑窻自語
弄蜘蛛語
土御門故二位泰邦卿かたられけるは、享保のはじめ、世に蠅とりぐもとかやいふ虫おもてあそぶ事あり、風流なるちいさき筒に入れて、蠅のいる所へとばせてとらしむ、一尺二尺など遠くとぶおもて最上とす、よくとぶ蜘は、あまたのこがねにかへてあらそひもとめ、蜘合おし、博奕に及ぶのあいだ、武家より制してやめしむとぞ、世にめづらしきもてあそびもありけるなり、