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古今著聞集
十九/草木
康保三年閏八月十五日、作物所絵所あいわかつて、殿の西の小庭に前栽おうへられけり、右大将藤原朝臣、治部卿源朝臣、朝成朝臣、中渡殿に候、侍臣等後凉殿のひがしのすのこにこうす、つぎに両所酒饌おもて男女房にたまふ、夜に入て侍臣唱歌し管絃お奏す、又高光永頼に、花の枝にゆひつくりところの和歌おとりてよませられけり、公卿侍臣に仰てうたお奉りけり、右大将延光朝臣ぞ題おば奉りける、十五夜玩後庭秋花とぞ侍ける、深更に及で侍臣和歌お奉る、保光朝臣おしてよませられけり、さらに又管絃の興ありて、其後公卿に禄お給はせけり、