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続世継
七/根合
媞子の内親王と申は、〈○中略〉ほりかはのみかどのあねにて、御はゝぎさきになぞらへて、皇后宮にたゝせたまふ、院号ありて、郁芳門院と申き、完治七年五月五日、あやめのねあはせせさせたまひて、歌合の題菖蒲、郭公、五月雨、祝、恋なん侍りける、こまかには、歌合日記などに侍るらん、判者は六条のおほい殿せさせ給へり、周防内侍恋歌、
こひわびてながむるそらのうき雲や我下もえの烟成らん、とよめりけるお、判者あはれつかふまつりたるうたかなと侍ければ、右歌人かちぬとて、このうた詠じてたちにけるとなん、二位大納言の宰相におはせしにかはりて、孝善が、ひくてもたゆくながきねのとよみとゞめ侍るぞかし、