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十種香暗部山

凡例
一香書にきくと雲字お、鼻にきくは耳に聞に異なりとて、古人心々に沙汰して、馥嗅嗅の字などかゝれし、さも有べき事なり、然れども此書に聞の字お用る事は、童蒙の便にしたがひ、事のやすきにつくのみ、しかのみならず法華の偈、止観の文、その外史書杜少陵が詩まで、みな聞香とあるにもとづけり、