[p.0325][p.0326]
名香目錄
太子 木所佐尊羅
きゝいかにもかろくすゞしうして、たぐひなきかほりなり、
蘭奢待 伽羅
きゝふるめきしづかにして、たえ〴〵なるこゝちありて、あむにむのかほり次第に出る也、是すなはちかうのもと也、他は是になぞらふべし
消遥 伽羅きゝはやう出て、蘭奢よりうすくして、ゆうなるかほり有、火すえ同前、
三芳野 伽羅
らんじやよりすこしはやく出、にほひはなやかにすゞしうかうばしき也、火末同前、
法華 伽羅
きゝふるうやはらかに、心たへにして言葉のべがたし、是も火すえ同前、
紅麈 伽羅
きゝすこしおそく出て、いさゝかからき心あり、火すえ同前、
古木 羅国
きゝふるめきひやゝかにすゞしきなり、あやめよちは、火ずえうすし、
中川 真南蛮
きゝふるうにほやかにして、かろき火すえなり、一説には木所伽羅といふ、
八橋 羅国
きゝしづかにすゞしうして、古来よりはなやかなり、火すえ菖蒲ににたり、
花橘 真南蛮
きゝはやう出、かろくにほやかにして、やがてきゆるなり、是香のしるしなり、
以上十種〈○追加二十二種略〉