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後松日記

むかしは男も女も香とて、たき物お衣にも、あふぎ、たゝむかみやうの物にもしめ置、そらだきものにもせしなれば、侍従、黒方、〈此二くさは、承和の帝の御いましめにて、男子に不伝といふ、〉梅花、荷葉、落葉、拾遺補闕、薫衣香など、さま〴〵の法あり、さるに足利の頃は女は薫物お用ひぬれど、男は沈おたくべしといへり、今は匂ひ袋お用ゆ、簡便にしたがふ成べし、是室まちの末にはみえたり、