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五月雨日記
きん〈九分に一分のめん○図略〉香二種の時は二枚、三種の時は三枚、或五種十種も同事也、同きんにては香うつり匂ひまぎるゝゆへ也、
きむばさみ香だゝみの下の口へ入る、爪かゝるほどに出す也、〈○図略〉
香箸 長〈さ〉四寸二分、銀にて作る、四角也、さきに香はさむ所少つくる、おとさぬためなり、〈○図略〉
香箸はさみ、香畳の上の口へ入る、爪かゝるほど出す也、〈○図略〉
後普光園院殿説に、香合の盆はぬり、或はなし地、貝にても、かねの類にても、絵様はなきもの也、
香盆銀にてみがき、内へ木お入、かろきやうにするなり、香合のときは香だゝみのあしでの絵にさしあふ事もあるゆへ、毛ぼりなどはせぬ事なり、盆は四角四方へ出たるはみゝなり、竪七寸八分、横七寸二分、高〈さ〉三分、
香盆に火とりすへ様〈○図略〉火とり梨子地に桐の葉高蒔絵、あしでの文字は銀かながひ、籠銀毛ぼり雲烟出る所雲の内に少あり、なまりにてふくりんとる也、
桐のはもふみわけがたくなりにけりかならず人おまつとなけれど、といふ歌おもて、あしでにする也、
後普光園殿説 香づゝみの外題は、肩に押法也、物語は中おし、歌書は口におすゆへに、まぎれぬためなるべし、