[p.0366][p.0367]
空穂物語
藤原の君
しろがねのひとりに白がねのこつくりおほひて、ぢんおつきふるひて、はいにいれて、したの思ひにすへて、くろほうおまろがしてそれに、
ひとりのみ思ふ心のくるしきにけぶりもしるくみへずやあるらん、くもとなる物ぞかしとかきて、兵衛の君の御もとにとてあれば、れいのあて宮に御覧ぜさすれば、〈○下略〉