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御家流改正香道秘集
一雪月花集一巻
右者御家六拾六種之名香、其外石三拾種之名香、京極道誉所持之名香百七拾七種之名目也、御家乞求て志野宗信写し、家に伝る書也、
一志野宗信筆記一巻右宗信筆記にして、八拾八け条有て、此道の規矩とすべき書也、
一香合式
右宗信筆に而記置しお、宗温省巴代々伝て、又省巴門人〈え〉伝へし時、此書之奥書お添られしと見へたり、後代香合之定式也、此時夢庵子之刳之詞書、西三条内府公之跋等、別に一巻有、伝之、
一宗温六拾一種香名一巻
右宗信子宗温之筆に而記置れし香名也、世上に六拾一種之香と雲は是也、
一宗入香炉之図一巻
右笈翁斎宗入香炉並飾之記にして、後世の規矩なり、宗入は宗信の末流之人なり、
一建部隆勝香之記一巻
右者志野末流建部氏の筆記也、諸事宗信と大同少異あり、又古法お考べきに便り有ものなり、
一十組香之記一巻
右十組香、古来より有来りしお、細川幽斎始て文となして筆記す、細川氏真名序有、系図香と後世図に名目お付れども、是は後人の作にして、拠もなき事なれば、今古法のまゝにして是お補はず、源平香の盤立物図古書略にして弁じがたし、因て今委く絵図となして補入す、名所香に兼用時は、盤之趣替る、源平香に而巳用ゆるは、此本の図に順ふべし、
一香之記一巻
右香之記は、誰人の作たる事お不知、志野氏建部氏の事、しば〳〵雲といへ共、慥に正伝有人の作に有べからず、其内いぶかしき事ども多し、殊に初の一紙甚疑ふべし、其中又意有事も多し、是も亦古書なれば猥にけづりさらんに忍びず、尚附錄に弁ず、
一八部之書毎之終に考正異同考お附す、旧書に誤る物は他本に照し合て改もの也、是には図お付る、他本に異にして何れか是なる事お不知もの、図お本文のかた脇に付て、考正に是お弁ず、古書之誤、他本の異同お分やすからしむるもの也、
一附錄奥之栞二巻
右は本書八部之中、解がたき事、又は其余意お述て、初心の人に便とす、