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筆のすさび

茶事お嗜むに、詫といひ数奇といふ事、第一の義なり、風雅に物好おし、閑寂のわびたるおたのしむ事よりいふなり、そのわびおたのしむ中に、好古の志ありて、古器の雅趣ある品お鑒定して玩びたのしむ、是即数奇なり、雅韻風致お賞する処、彼禅味と同じきゆえに、禅林の高徳とも旨趣の愜ふと仕たるものなり、その趣お露しらずして、隻がぶ〳〵と茶おのむ人お茶人とはいふべからず、