[p.0403][p.0404]
台子しきしやうの時かざり様の事
夜会の様子
一夜のすきは昼より大事の物なり、まづ心しづかに、手前もさはがしくなきやうにしなす事せんなり、庭には石どうろに火おともし、路地には水うつべからず、あつき時分ならば、うへ木ばかりに打てよし、
一こしかけにはあんどん置なり、置所はこしかけの前のはづれに、すみかけて置なり、
一朝にても夜会にても、石どうろに火おともしては、しやうじお立る物なり、ともし火には、あぶらたくさんに置なり、客にあかせぬ道理おせり、
一すきやの内には、たんけいおとぼす事本なり、置所はゆるりぶちより、たゝみ廿三め、但かねにては壱尺五分あり、中程の地、しきいよりは一寸、但二目半なり、火口はにじり上りへむけて置なり、客入てすみする時は、たんけいおゆるりのふちぎわまでよせるなり、すみもたくさんに置事よし、
一軒のまどは、しやうじおはづしかけ、戸ばかりかけて置なり、其ためにかけ戸に色お付る事なり、
一すみの時は、手そくいだして、ゆるりぶちの右のさきのすみに、えおさきへなして置なり、
一茶の時は、たんけいお床の内へ入、左りの方に置なり、前の床ぶちより四目、左りのわきの地しきいより七寸五分に置なり、火口お前の方になしてよし、
一茶立る時、手そくは水さしと中程の間に、えおさきへ火お前になして置なり、
一茶の時は、手そく出して、水さしと中程の間に、釜の口も手前もよく見ゆる様に置物なり、茶出し候てより、手そく客より御こひ事本なり、えおさきへなし、ゆるりの右の方へいだすなり、