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備前老人物語
暮の茶湯といふことあり、会席おつねよりはやめに食し、酒すぎ湯呑終らば、膳おこなたよりおし出すほどにして、はやく座おたち露地へ出べし、亭主もその心おしらば、これは忝とて茶請おもち露地へ出べし、客も忝とて則食し、手水鵜飼して、はやく座敷へ入べし亭主もその心得にて茶おたつべし、掛もの花など見る事も、其外一座の礼みな心得あるべし、畢竟燭の出ぬ前に、道具などみて仕廻うがよきとの心もち也、