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南方錄

雨中会
竹がわ笠腰掛に置事勿論也、木履時宜に寄事、露地入往来必さわがしく足早に成事、つゝしみ無故也、籜笠腰掛に置べし、凡はかざして済事なれ共、手水抔の時不自由也、紐お軽くしめてよし、夜雨の時、灯に雨のかゝらぬ様に前へ引付て持たるよし、小雨の時は木履に不及、強雨ならば木履腰掛に出し置べし、手水鉢の蓋してよし、亭主よりは、中立なしに茶立る様にする事なれども、手水せず茶お呑事、ゆめ〳〵不可有なれば、亭主よりもしいていふ事にあらず、玄関ひさし下、又は塵穴の石に手水出し、雪の会の如く、御独々々御手水候へと雲もよし、雨さへふれば、小雨にても自由して玄関へ手水出すにてはなし、