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槐記
享保十四年正月廿四日、香の茶は、必ず聞香炉お不用口よせか、すべり口おかきあけ灰にして、銀おしかず直に焼なり、客よりは古き御香に候、なぞ火布(しき)おしかれずやなど挨拶す、若し名香は必ず銀おしきて焼なり、銀お敷ほどなれば、亭主ちと続がれ候へと雲、客固辞すれば、其通りにして入るがよろし、しかれども続ぐべきかと雲へば、亭主勝手より香盆に香箸木箸並に銀盤に入れ、焼がら入れまでおのせて持出、さいぜんの銀おおろし客の前におく、客銀おとり香お焼て亭主に廻す、亭主香炉おとりて、棚にても床にても直しおく、此ときは焼物お焼かず、香炉お入るれば焼物おたかず、席に香炉あれば、たかずと合点せられよ、