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喫茶指掌編

或時紹智忰了智お召連、古田織部へ茶に行し、卯月の初めなりしが、未炉にて有ける、織部雲、古人炉お惜し故、我も名残多く存る故、今日も炉に致たりと也、此事後に了智庸軒に咄せしとて、常に庸軒物語すと也、されば早く風炉に上るがよしと、己一編に不被申、利休宗旦などは、二月三月の頃、風呂に致たる咄もあれど、兎角其時候に依事と、庸軒も常に申せしと雲り、