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南方錄

上客世礼之貴賤に不寄事
草菴の会、賞客といふは、貴賤に不寄申入たる人お上客とあしらふ也、平生の高下によらず、休〈○千利休〉の会に銭屋宗納賞客にて入来有けるに、木村常陸不図案内して腰掛に入、能折からに候、座に加へたまはるべき由雲入らる、居士むかひに出て一礼し、常陸殿宗納の御相伴有て玉わり候へと被申、元よりその心得に候とて、常陸末坐にて相済けると也、草菴の作法如是、貴賤一同露地のの本意、誠に殊勝の事共也、