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客之次第
一年の内に主君、或は大名貴人などの口切の御茶可被下約束ありて、自然延引有て五六月までも相のびて、壺おとりよせ口切あらば、あつくとも上にひとへ物きるなり、亭主ももちろん著事本なり、
一九月十月までもふろの茶ならば、上にかたびらきるなり、是によつて春秋の堺の時分には、かたびらひとへ物、或はあわせにても、うす綿入の小袖にても用意してもたする事よし、
一夏冬ともに、たびははくべしと紹鴎申されし也、夏はあせあり、不慮に茶ある事あり、其時はあたらしきたびにてもぬぎすてゝ、あしあらひよくぬぐいて数寄屋に入ものなり、