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茶伝集

一数奇の衣裳は何にても不苦、作去昔はかちんの物お着せず、茶の道と差合故也、利休は黒き物着して可然由申たる也、昔は亭主の掛もの表具の色抔に似たるもの着せず、当代は左様に吟味もなし、併今以貴人秘蔵の掛物表具色合尋て、其色は着せざると将監申候、
一数奇屋へ道服着するもの共、不着物とも、利休に御蕁不被成候、道服に若道具引掛る事も可有、着せざるが然べし、坊主は道服の代りに、一重物お上に着したる時は、白衣に而も不苦候、一重ものは、衣の代りなりと被仰候、