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閑田耕筆

茶礼に心得がたき事あり、招るゝ俗体の客は麻上下の礼服おつけ、迎ふる主僧は法衣お脱てあらぬ服おつけ、茶おたつるに弁利なるやうおはからふ、礼の相当らぬおいかん、又必礼服おつくべきならば、官位ある人はえぼうし装束なるべきお、さてはせばき入口の名におふ、にじりあがりかなふべからねば、首服お脱、上おとり、さしぬき計にておはさんか、凡かゝればはたして礼による歟、よらざるか、書院のあつかひは別なるべけれど、これはたゞざまの茶室のうへにておもへる也、