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南方錄

客来時刻肝要之事
朝会は寅の下火にて客お待故、夜明はなるゝと其儘腰掛に来てもよし、され共石灯籠の内、又は数寄屋の内、かべ戸等の仕廻も有故、其程お考べき事勿論也、昼会夜会共に下火の心得して午の中刻、酉の中刻、座入するやうにすべしとかや、遅滞して火相のさわりに成様にするは、亭主に成て心づかひのものなり、さればとて考なしにはや過れば惡し、時刻肝要に心お用べきなり、
客腰掛待合案内お報ずる等の事
同道人相揃はゞ、主の掛置たるにまかせ、版にても喚鐘にても柝にても打べし、数は三つ可然、主の沓の音聞ば、立渡りて迎お待べし、