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南方錄

多客少客心用之事
小座敷の会客五人に過べからず、凡は二三人お吉と雲、露地入坐入配合お見る抔の隙入に、火相心得ざればひが事多し、二三人迄は大方程拍子能もの也、夫故主客未熟なれば、遅速のべちゞめお知らず、火相湯相惡敷成也、五人にも成と、客のたちふるまひ手間入れば、火相散々に惡敷成也、凡客多き時は、主も早々迎ひ入れ、ようつ客ぶりもはかり行し様子心得が能也、夜会の時燭お乞て床台目等見る事も、灯のあかりにて見ゆる程ならば、燭お乞て再見無用也、配合に寄、一つ物抔の時は、たとひ大勢たりとも燭お乞て疾と見るべし、先初に座に入たる時、灯のあかりはきとならば、床台目お見ずに直に座に付、主出て後、燭お乞見るもよし、やすき様にて主客の功不功此所也、能々煆煉有べし、