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茶之湯六宗匠伝記

小堀遠江守宗甫公自筆の写
一客になりあるき様、何方にても炉畳へは上り不申候、
一風炉の座敷へ入申には、静に可然存候、灰くづれ安き故、此ならひ有、
一外へ出申には、勝手へきこゆるやうにすべし、〈○中略〉
一上座路地へ入、手水遣、刀懸に刀脇指かくる時分に次座入べし、其次々もかくの如し、夜会にては、引つゞき入が能なり、
一座入に手水遣ぬ筈也、不遣してかなはざる数寄屋あり、又手水おつかい入ても不苦候、不遣して不協事は、食後茶之湯は是非に手水つかい入べし、
一入替座敷と入不替座敷有、四畳半、三畳大は大形が入替る、一畳半と風炉は大形が入不替、先は通口に心お可付也、功者の入場也、
一不功成人は、床おいつも上座と思ひ座付人有、家作り勝手次第にする事なれば、床は勝手にも上座方にも付るゆへ、中々床お上座と思ひては、客は成にくき物也、通ひ口に心付るが一の習也、