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台子しきしやうの時かざり様の事
一座中せばき時は、床へあがりてもくるしからぬおきてなり、紹鴎のすき出したまふ時、四条の弁殿おしやうじたまひしに、二帖だい目に人六人ありて、ちとせばく侍りければ、弁殿床へあがらせ給へと申されしに、弁殿たんけいの前に上り給ひて、
とこやみの夜も明がたのともし火にほの〴〵見ゆるはなのおちやの香、とよみ給ひ侍りければ、みなえつぼに入けりとなん、かやうの例もある事なり、