[p.0461]
和泉草

濃茶立様同呑様
一茶筌に而ふる時、廻りに茶のつかぬ様に、かたまり振ほどく様に、底にかたまりの残らぬ様に、いきの失ぬ様に、泡のきえ候様に、余り久敷ふらぬ様に、手先にていそがしく振べからず、肩にて静に振べし、何時も小服成吉、呑人も三口より多呑は惡し、亭主客の数お考て服お立る物也、呑あまして再返廻すは不仕付也、
一小口に一口々々呑切たる跡、歯お喰つめる様にして茶おかむ様に呑也、如教呑ば、茶の味お能善悪お覚物也、濃茶お呑内、余所目遣せぬもの也、
一濃茶お草に立、薄茶お真に立ると雲習有、口伝、
濃茶の後湯お乞て呑事
一湯お乞て呑儀、利休時分になき事也、亭主情お出したる茶お、湯にて早々洗流は不仕儀也、茶おさえ被下間敷と雲事有之也、