[p.0464][p.0465]
南方錄

後の炭之事
薄茶済、火相衰たらば、客衆へ一炭と所望し、又客よりも今一炭と所望する事有、炭軽く置て其儘湧立やうにすべし、底つかへたらば軽取べし、客より炭する時、胴炭抔の流れ見能ば残して、軽く底取て吉、又薄茶おも立る事有、大かたは夫に不及略衆暇乞すべし、炭おして湯わかし、一坐お陽にして客お戻すと雲説有り、祝したる心也さも有べき事か、廻り炭の事、古織已来の事也、露地草庵にて炭の置方抔、面々自慢らしく置並べ、何の益もなき事也、是皆本意の違ひなり、其上利休流のふくさ灰にて廻り炭は成がたし、