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槐記続編
享保十七年七月十六日、如例参候、二服三服のうす茶のとき、湯すヽぎすること、他流には絶てこれなきこと也、御流義にかぎりたることなるか、此度加州へ下向の節、金森に相尋しにも、湯す ぎは一遍也、二遍はせずと申す、二遍すヽげば濃茶になるの由お申す、いかヾと伺ふ、仰に、〈○近衛家熙〉古へ後西院の御前にて、常修院殿〈○愨胤法親王〉お初め、三菩提院、〈○貞敬法親王〉並に御前にも、度々御薄茶のことありしにも、湯すヽぎ一遍、茶筌湯すヽぎ一遍、凡て二遍也と御覚えなり、是も何とぞ堂上堂下の差別なりや、いさしらずと仰也、