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甲子夜話
四十六
松浦鎮信茶湯お以て名高きは、世人皆知所なり、常に申さるヽは、茶は遊戯なれども、其中に武辺の心得こもるこどなり、いかにとなれば、物事一として心付ざることなく、隅々迄届き、立前の手続もいさヽ力油断なきやうならざれば協はぬ也、又定法の外、時に臨みて作前ある所、其人の才智お見るべし、これおもて心得とせば、武辺も皆かくある可しと申されしとなり、