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茶話指月集

一ある時道安、我、〈○千宗旦〉おつれて古織の茶湯にゆきしが、亭主鏁の間にて炭所望あり、安灰土鍋(ほうろく)お、ひきよせ、炉中おとくと直して後炭お置く、その炭ことに興に入る、予帰路におよんで、織部は今の宗匠なるに、炉中の直し以の外に覚え候といへば、安よし宗匠にもあれ何にもあれ、炉中あしくては炭が置れぬといひし、