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茶窻間話

池田炭といへど、池田にて焼にあらず、摂津国多田の庄一倉といふ所にて焼、池田へ出し、池田より諸方へ送る故池田炭といふ、本名は一倉炭なり、むかしより茶道には是お最上とす、但し詫には京ならば小野炭、鞍馬の炭、美濃尾張辺にては伊勢炭、関東にてはさくら炭お用ふ、切て雨にあて用ふ、白炭は上古より和泉の横山にて焼出し、公卿官女の手にふれられてもよごれざりしゆえ、御堂上にて用ひられしなり、