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喫茶指掌編

又玄斎八月の末に、今日菴にて風炉の名残とて、雲竜釜にて茶有し、相伴は豊田長伝、井上宗恵なり、此時雲竜の灰お工夫せしと教示ありし也、
又玄斎五十二歳の時の事にて、生涯の名残にて有ける、予〈○速水宗達〉加州下向餞別かた〴〵の茶也、 其教示の趣は、克炉談に著ぬ、何風呂にても、雲竜釜お執合す時は、いつも向一文字に為との事也、面しろし、