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茶道織有伝

茶の手前善惡の大体
それ茶の手前善悪は、その生れつきによる也、扠茶入、茶埦、茶しやく、茶せん、ひしやくなどの手つづきは、うでくびのまがらぬやうに、りきみなきやう猶也、或ひぢおはり、ちやん〳〵とはづみ、ゆびおはね、りはつに見ゆる事、大に惡しき事也、なるほど目にかゝらぬやうに、ぢつていにするときは、おのづからしほらしく見ゆるもの也、又ひしやくおたかくあぐる事惡し、扠釜おあげるには、両ひぢおひざへつけ、くわんお右はさきへ、左は前へ、又はづすには、右は前へ、左はさきへはづす也、扠釜おあぐるに、大ゆびと人さしゆびは上に残、外三つゆびおくわんの中へ入あぐる也、かたひざおたて、かけおろしおするといへども、不礼に見へて惡し居ながらかけおろし猶也、