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槐記
享保十二年閏正月九日、茶筌うちおすることは、先後に差別あり、初めは湯すヽぎの茶筌は湯にて穂おやはらぐる為なれば、いかにもやはらかに打反し、茶筌すヽぎも静に音せぬほどにすべし、〈仕方口伝〉後の水すヽぎは、茶筌に茶のつきたるおすヽぎ、清くする為なれば、如何にもたしかに音おして、茶碗の内四方ともによくあらひ、穂おしごく様にして茶おおとすべし、〈世間の茶、大やう此差別なし、〉