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茶道聞書集

良休、宗佐年忌の時、流芳軒茶かぶき、此追善の為茶盌五十作る、昼時より茶かぶき始、書院風炉釜四方棚の上に、茶盌二つ重ね真中に置、下に水指、上段に良休椿の画掛る、前に三つ具足蝋燭立香炉花入、附書院真中に張文庫の蓋に棗とも入れ飾る、客は宗安自分上坐、其外鬮どりにして坐に付く、風炉右の方宗安より十人任尺末座、八畳敷目分初め十人善次末座、二の間床に利休像掛る、三畳敷金風炉に大阿弥陀堂掛、長四畳に宗也、宗鎮、道円、喜斎、右は茶のまず、玄関に、立賢、宗哲、筆者如水、三畳敷に秋波、宗閑、棗の蓋に胡粉お以て一二お付る、流芳茶二服づヽ一度に点る也、試みあり、試すみて菓子口取お出す、此茶かぶき客の茶なし、札入は十種香の札入借り用ゆ、猶茶の目掛て、左のかんばん上段の柱に掛試、此通図す、
○ 片岡 森 馬場 上林 竹田
片岡 宗安
森 宗安
馬場 宗安
上林 宗安
竹田 宗安
〈昔の札一枚宛なれど、流芳五枚づヽゆるす也、此札五枚づヽ一人前也、棗の蓋のうらにはり紙有、蓋の上に胡粉にて流芳合紋お作る也、不審、〉あたり、宗安〈に〉、山下総左衛門〈に〉、知仙院、自分、
右済て、一汁一菜の非時お出す也、
良休居士年忌二十五回忌成べし、此年流芳高野へ参詣あり、正徳五乙未年也、良休居士卒年は、元禄四辛未年七月十九日也、追善茶かぶきの様子、いまだ其式も治定せる事なしと見へたり、