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狂言記

茶つぼ
わが物ゆへにほねおおる〳〵、心のうちぞおかしき、さ候へばかうこそ、さ候へばこそ、さてもわれがしうとの、中国一の法師にて、ひの茶おたてぬ事なし、いやいちぞくの寄合に、ほんの茶おたてんとて、五十くわんの、くりおもち、おほくのあしおつかふて、ひやうごのつにも著たり、兵庫たつて二日に、とがのおにも著しかば、みねの坊、谷の坊、ことにめいえんしけるは、あかいの坊のほうさきお十斤ばかりかいとり、此つぼにうち入、うしろにせおふて、国おさいて下れば、〈○下略〉