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南方錄
拾遺一
総て朝昼夜ともに、茶の水、暁汲たるお用る也、これ茶の湯者の心がけにて、暁より夜までの茶の水絶ぬやうに用意する事也、夜会とて昼已後の水は不用也、晩景半夜迄は陰分にて、水気沈みて毒あり、暁の水は陽分の初にて清気さかふ、井華水也、茶に対して大切の水なれば、茶の用心肝要なり、