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南方錄

草庵附数奇屋
釈氏要覧曰、草お以て座お覆ふ、是お菴といふとあり、草菴は出世間法にして、自由天然の妙処也、休居士〈○千利休〉鴎〈○武野紹鴎〉に談じ、草茨の弐畳敷お作らる、是露地草菴の最初なり、数奇はものゝ相そなはらざる形にて不偶なるお雲、〈○中略〉

昔広座敷の隅お屏風にてかこみて、五六畳敷程にして茶おたてし事有、草菴未だ流行せざる比の事と雲々、一説に炉おかこみ居るお以て囲と雲、円座抔言類にて、囲居同じと雲々、此説も左可有也、今時も別に草菴などしつらひ詫人は可有事なり、