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南方錄

珠光真座敷
紹鴎四畳半 〈木格子 竹格子 張付 土壁 炉〉
珠光四畳半、是四畳半の根本也、真の座敷と雲、鳥の子紙白張付、杉板の節無し天井小板ぶき、宝形造、一間床也、秘蔵の円悟禅師の墨跡お掛、台手おかざり、其後炉お切て、弓台お置合せられしとかや、又床には二幅対の掛画勿論、一幅の画などもかけられしなり、前には卓に香炉花入、或は小花瓶二色に立花、或は料紙硯箱、短尺箱、文台、盆山、葉茶壺抔も飾られし也、大方書院の飾物等置れけれ共、物数抔は略有しとかや、紹鴎に成て、四畳半座敷所々改、張付お土壁にし、木格子お竹にし、障手の腰板おのけ、床の塗縁、薄塗又は白木にし、是お草の座敷といふ、此座に台子はかざられず、弓台の時は、掛物置物大かた珠光同前、袋棚の時は、床に墨跡花生の外は未被置、品により珠光かざりの内、少々ゆるして可用事もあり、炉の広狭不定、釜の大小に随て切し也、休公〈○干利休〉と相談有て二畳敷出来、向炉隅切に、台子のかねおとりて壱尺四寸の炉お始られ、其後四畳半にても京畳のには一尺四寸也、又田舎間四畳半あり、炉の寸等口伝、
深三畳二様
古作のしつらひ也、図に記、〈○図略〉是は板の上に風炉釜お置て茶お立し也、其後板の前に壱尺四寸の炉お切て黠茶す、休の二畳敷方寸已後の事也、〈○中略〉
紹鴎利休二畳敷附炉之定寸
両居士相談の上お以て二畳敷お作也、鴎の山里、休の妙喜菴等也、其外数々あり、是露地点茶の最初なり、客席の詰らぬ様にとて三畳敷に成、年々月々色々の事になれり、炉の定寸左に記すごとく、鴎休相談の上、台子風炉の座壱尺四寸お畳に移し候寸法也、勿論田舎間の畳にて、小台子風炉の座の寸と心得べし、二畳敷隅切の向炉草菴第一と心得べし、其後転じ来て客付向炉になる、
平三畳附集雲菴平三畳
平三畳向炉にも、又は脇炉にも切る、床の付様、窓の配り、夫々物数奇次第也、集雲菴の三畳は宗啓師の住居也、炉お持出して切しは、勝手の方間半くつろぎて、自在抔釣りて猶なる住居也、〈○中略〉
二畳台目三畳台目
二畳三畳、又は四畳半にも台目おつくる、〈○中略〉
台目の規矩
中柱の右に炉お直したるお台目切と雲、六尺三寸の畳の内、台子の幅一尺四寸と、台子先の屏風の厚さ一寸とかきてのけ、則其一尺四寸の幅、元来一尺四寸の風炉の座お客畳に出して炉お切たり、一枚畳の内、台子の髱目分切のける故、台目切の畳、台目かきの畳といふ也、柱なし台目切も有、自由なれども柱有本式也、何〈茂〉五陽六陰のかねお用、秘事多々、口伝、