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茶道望月集
三十七
一当時突切炉と雲物は、前に雲一畳半座敷の切様おさして雲と見へたり、古法の突切炉と雲は左にあらず、たとへば長三畳敷の座敷ならば、勝手口より踏込畳お亭主畳として、其むかふ中の畳にむかふて、左の方の手先きに炉お切入たるお雲也、然ればむかふて左の方の壁ぎわへ炉お付て切たる物也、是お突切と雲也、猶一畳半の座敷にても、向ふへ突付て切たる物とは雲ながら、是は勿論一畳半切、むかふ切などと雲習はしたる事にて、向ふ点也、然れば突切と称する物は、右に雲ごとく、むかふて左の手先きに切、又勝手によりて右の手先きに切たるお雲と可知也、