[p.0564]
槐記
享保十一年正月十一日、参候、常修院殿〈常修院殿、梶非宮慈胤二品親王、○中略〉常に御物語に、畳に本末と雲ことあり、多は人の知らぬもの也、本末お吟味して敷たるたヽみは少なき者也、気お付てみるべしと仰〈○近衛家熙〉られしが、真になきもの也、畳のぬひ出しの方お本とす、目もろくにして、ねじれもなし、ぬひさきは何としても目も半にかヽり、ねじれある故に、炉のきは本の方お敷かねば、じだらくなるもの也と仰らる、 十四日、参候、畳に本末と雲ことありと仰られしお再び窺ふ、仰に、ぬひ出しの所は、きはも正く、目通りも正し、是お本とす、それなりに推出していで、向の方はなり次第にへりおつくる故に、目通りもなにとしても正しからず、ねじれもあるもの也と仰らる、