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茶道要錄
上/主法
座席之段々同床事
一灯器之事、中柱なき座席には掛灯械(かけとうがい)お用ても吉、是〓(さび)たるの為体也、此時灯下の壁に付て下皿お置、鈒(そぎ)楊枝お一本置、是灯栝(かきたなき)也、木灯台は大小二つ有、小は一畳半より二畳迄に用、大は二畳半より三畳迄に用、三畳半より四畳半には短檠お用、各灯栝お下皿の内に手形に横に置也、短檠の下皿は、紙お二枚重四半に折て敷載置、灯心は何れも七筋入る、長して末お結て置也、灯械、灯台、短檠、行灯共に悉く寸法あり、灯盞、下皿にも各形あり、座の大小に不寄、必ず朝は行灯お用、灯心五筋入る、灯盞には常の土器お一枚下に重ね、下皿の上に竹の輪高さ八分に伐て置、其上に土器共に載て、灯栝お火口下に手形に横に置也、総じて灯器類は何れにても、灯盞には常の土器お一枚下に重て可置、方灯の取手、竹にて節一つ有、其竹の本お我方へ置也、必ず是お朝用る事は、寝起なる故あかり過たるお嫌ふ故也、都て灯器の置所に定り有と末派に雲り、一切さにあらず、第一床の内、次に茶堂前の置合能見やうに置事肝要なり、蝋燭は炭お置時と、茶お点る時ばかり用吉、置所座の勝手に因て各替り有、口伝、蝋燭の炬し掛お用ゆ、是は蝋燭の多く立たるお客に知せずして、夜お咄し明さん為也、少細きお用ゆ、油煙お厭が為也、