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翁草
三十八
一或人数寄屋庭の物好お利休に尋しに、古詩一句にて答ふ、青苔日厚自無塵、又遠州へ尋しに、朧月海すこしある木間哉と答られ、又宗旦に問ば、心とめて見ればこそあれ秋の山ちかやにまじる花の色々、物好は心々に替る事斯なん、利休は幽玄に奇麗也、遠州は閑静に物さび、宗旦は詫体余りて、細かに心付しとふるき書捨に在、