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茶湯古事談

一上京後藤が露地は、小堀遠州の好みにて出来し、加茂川おし、かけて大きなる泉水あり、待合より堂腰懸までは船に而行なり、舟頭は小坊主のよくこぐ者也、中流にて舟ちんに肩衣十徳おかせ給へと、無理にとらせて、夫より袴ばかりにて路次入なり、数寄屋は三畳大目也、刀懸とにじりあがりとの石お壱つにて兼ぬ、巾三尺ばかり長さ七尺余もあらん、其石より飛石五つ有之、長さ弐間半の畳石に、幅八寸めんお切たる切石、相手石も三尺余有、長石に小石おとりまぜ、其外木立物ふり、面白さいふばかりなかりしとなん、