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茶話指月集

さる方の朝茶湯に利休その外まいられたるが、朝嵐に椋の落葉ちりつもりて、露路の面さながら山林の心ちす、休あとおかへりみ、何もおもしろく候、されど亭主無功なれば、はき捨るにてぞあらんといふ、あんのごとく後の入らに一葉もなし、その時休総じて露路の掃除は、朝の客ならば賓にはかせ、昼ならば朝、その後は落葉のつもるも、そのまゝ掃ぬが功者也といへり、