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茶窻間話
上一
織田有楽、或時人々と会しはなされし、高山左近が茶の湯に大病あり、高山は所作も思ひ入もよけれども、清めの病ありて清き事おしらず、路次の辺はいふに及ばず、方々わきわきのえんの下まで掃清め、曾て掃除の際もなし、其世話おやく事、沙汰に聞さへいきだはしく覚ゆ、潔き費お暁らず、数奇道へ行ぬ事ではおりないか、但し今の世には、高山が類病多しといはれしかば、一座の外の人までも聞伝へて、猶といひしとなん、