[p.0587][p.0588]
茶譜

一堂葺と雲は、外腰掛の脇に造る、此屋根お瓦葺にする、之は数奇屋と同やうに見間敷ため、又路地の体、深山の物静成お見立て造ゆへ、幸に寺なども有心お含て、則瓦葺には造し也、第一は此所客人の装束改所、又相客お待合所なり、寒気の砌、老人は腰掛に相客お待居も難儀すべきため傍造之、則堂葺に添て腰掛有之お外腰掛と雲、此近所に雪隠有、夫お外雪隠と雲、中くヾりの内にも腰掛あり、之お内腰掛と雲、此近所にも雪隠有、夫お内雪隠と雲、〈○中略〉
一古田織部流、外腰掛に続て堂葺有、六畳敷又八畳敷も可有之、真中程の大道の方へ突出して出格子有之、釣格子にした竹お打なり、竪柱五本に横に通入て、格子の内に腰板お打、然ども其中路地入口の見ゆる方は腰板お不打、