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貞要集

石灯籠之事一石灯籠の置所は、手水鉢近辺、砂雪隠の辺、又は躪上りの辺、あかり用に立所お見合置が本意なり、半月の有方お西へ成様に居申筈と有之候へ共、其路地の場に寄べし、広き路次には石灯籠二つも可置、内路次に石灯籠二つ置不申沙汰も有之候へ共、長路次には二つも三つも置申度候、然共石灯籠、古き見事成お路次の景気に置申事に候へば、少々明りの惡敷所にても景気に置申候、夜会には灯心長く入申候、朝会には灯心短く入申候、夜は客長座のため、朝は夜深より客待申心持にて、灯心長短有之候、石灯籠路次に置候は、利休鳥辺野通りて、石灯籠の火残り、面白静成体思ひ出て、路次へ置申候よし雲伝有之候、又等持院にてあけはなれて、石灯籠の火お見て面白がり、夫より火お遅く消し申由雲伝る、石灯籠前に火灯し石とて、大ぶり成石お居へ、とび石居へ続る也、朝会には、夜あけ候て会席出し候と其儘、灯籠火お消申候、